ごあいさつ

1999年に都営三田線板橋区役所前駅に人工透析を中心としたクリニックで診療を開始しました。

腎臓は血液をろ過して尿へ老廃物を捨て、体内をきれいに保つ仕事をしています。左右の腰の辺りにある縦幅は約10cm、重さは約150g程度の小さな臓器です。その小さな臓器に1分間当たり1000mlもの血液が流れています。心臓が全身に送り出す血液の量は1分間当たり4000mlで、約4分の1が腎臓へ送り出されていることになります。特に酸素を必要とする重要な臓器である脳の重量が約1400mgに対し、1分間に流れる血液の量が750mlであることを考えても、その多さが伺い知れます。腎臓は実に一日に約144Lもの血液をろ過して、1000〜2000mlの尿へ調整し、老廃物を捨てているとても働き者な臓器です。

近年、この腎臓の機能が低下することが、様々な臓器に大きな障害を来たすことが盛んに様々な国から報告されています。特に大きな影響を与えるのは心臓で、心臓と腎臓は協調して体内の血液の循環を正常に保っており、腎臓の障害が心臓にも大きな障害を与えていることが分かりました。そのため腎臓を専門とする医師を中心に、慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)という概念が提唱され、腎臓の異常をできるだけ早く察知し、腎臓を保護していく活動が始まっています。これは早期に治療を開始することで、腎臓を保護するだけではなく、動脈硬化の進行や心筋梗塞、脳梗塞といった疾患を予防することもできるからです。このような流れの中で、我々は腎臓を中心に全身をみることの重要性を痛感しています。

また腎臓の機能が落ちてしまった場合は、腎臓の代わりに老廃物を取り除く透析療法が必要となりますが、1日24時間絶えず血液をろ過している腎臓と比較し、1回3-5時間、週3回の血液透析では十分な老廃物の除去は難しく、やはり動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞といった様々な合併症の危険性が高まります。また透析の際に血液の出入り口となるシャントなどのバスキュラーアクセスの問題も、透析を受けている方を悩ませる大きな問題となります。

これら腎臓病に悩む方々によりよい診療を行うために、CTや手術室などの設備を整えた鶴田板橋クリニックを2011年にJR埼京線板橋駅に開設いたしました。両院は近くに立地しており、協力しながら地域の腎臓病に悩む方々とともに歩んで生きたいと考えております。